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インドの創造神話はなぜ矛盾したまま残っているのか——ヨガという言葉の本来の意味

執筆者の写真: Ken
Ken
12 分前
読了時間: 3分
見上げた大樹の枝葉が金色の光を透かして広がる写真——「世界はヨガによって創られた」というタイトルを重ねたイメージ


こんにちは、Kenです。


「世界はヨガによって創られた」。こう言われたら、あなたはどう思うでしょうか。ヨガは、世界が始まったあとに人間が発明した練習法のはずです。順番が逆に聞こえます。


奇妙に聞こえて当然です。実はこれは、古代インドの人たちが、長い時間をかけて考え続けてきた問いです。そしてその答えにたどり着く道のりは、多くの人が思っている「ヨガ」のイメージとは、かなり違う場所を通ります。


「答えはひとつのはず」という前提に従わない伝統


「世界はどうやって始まったのか」と聞かれたら、多くの場合、私たちは「正しい説明はひとつだけのはずだ」と考えます。科学的に正しいか、宗教的に正しいか。いずれにしても、答えはひとつに絞られるべきだ、と。


ところが、古代インドの伝統は、この前提に従っていません。世界がどう始まったかを説明する物語は、ひとつではありません。しかも、それらはまったく違う筋書きで、互いに矛盾しています。


普通なら、矛盾した話がふたつあれば、どちらかが「間違い」として消されるはずです。でも古代インドでは、そうなりませんでした。矛盾したまま、両方とも大事な物語として、今日まで残されているのです。


混沌から、ひとつの「何か」が立ち上がる物語


その神話のひとつを見てみましょう。インドの聖典の中でもっとも古い層に、リグ・ヴェーダという讃歌集があります。その第10巻、129番目に置かれた讃歌には、こんな話があります。


はじめ、世界には「存在」もなければ「非存在」もなかった。光もなく、闇もなく、生きているものも死んでいるものもなかった。ただ、混沌とした「何か」だけがあった。そしてその混沌の中から、自分自身の力によって、ひとつの「それ」が立ち上がってくる。サンスクリット語で「タッド・エーカム」、「あの、ひとつのもの」と呼ばれる何かです。


ここで大事なのは、「誰かが何もないところから世界をつくった」という話には、なっていないということです。「無から有を創造する」という発想は、実はインドの伝統にはほとんど出てきません。世界をつくるには、すでに何か材料が要る。だから世界は、ずっと昔から、形を変えながら、ずっとそこにあり続けてきた。そういう考え方です。


しかも、この讃歌はとても正直な終わり方をします。「このすべてが、どこからどうやって生まれたのか、あの“ひとつのもの”は知っているのかもしれない。あるいは、知らないのかもしれない」。答えを断言しません。分からないことを、分からないままにして終わるのです。




しかし、ここにはもう一段深い問いがあります


混沌から、秩序あるものが、自分の力で立ち上がってくる話。これが、ひとつめの物語です。けれど、インドにはこれとはまったく逆の筋書きをたどる物語も、同じように大事にされてきました。ここまでで分かったのは、「世界の始まりを説明する物語は、ひとつではない」という事実だけです。まだ分かっていないことの方が、はるかに多く残っています。


もし世界の始まりを語る物語が他にもあるとしたら、それはどんな話なのでしょうか。そして、矛盾する物語が消されずに残ってきたことと、「ヨガ」という言葉は、いったいどう関係しているのでしょうか。


記事本編では、この続きとして、上下関係が生まれる神話、「侵犯」から世界が始まる神話をたどりながら、「ヨガ」という言葉がなぜ矛盾を消す道具ではなく、矛盾を束ねたまま持ち続けるための言葉だったのか、そして「世界はヨガによって創られた」という言葉が本当は何を意味しているのかを、丁寧に解きほぐしています。


矛盾する創造神話がそのまま残された理由と、そこから見えてくる「ヨガ」という言葉の本当の意味について、記事全文で詳しく解説しています。



ではまた。 Ken

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