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ヨガの「倫理」はどこから来たのか——ダルマとスヴァダルマの意味

  • 執筆者の写真: Ken
    Ken
  • 7 時間前
  • 読了時間: 3分
黒地に、長さも質感も異なる複数の棒状のフォルムが、互いに揃わないまま交差しているイメージ。倫理には複数の物差しがあることを象徴する


こんにちは、Kenです。


ヨガのクラスでは、非暴力(アヒムサ)や正直(サティヤ)といった「ヤマ・ニヤマ」の徳目リストで、倫理について学ぶことが多いと思います。

けれど、そもそもヨガの伝統は、なぜ、どうやって「正しさ」というものを考えてきたのでしょうか。実はこの土台は一つではありません。今日は、その出発点にある「ダルマ」という考え方を中心に、ヨガ的な倫理観の起源をたどってみます。




「倫理」は、導かれる場所だった——nītiという言葉


「倫理」を表す古い言葉の一つに、サンスクリット語の「ニーティ(nīti)」があります。「導く」を意味する動詞語根「ニー(nī)」に由来し、「導き」「行い」、そして「倫理」そのものを意味する言葉です。


同じ語根から生まれた「ニータ(nīta)」——「導かれた」を意味する過去分詞——と合わせて見ると、この言葉には「あなたを導くもの」であると同時に「あなたが導かれてたどり着いた場所」という、二重の意味が最初から含まれていることがわかります。


つまり倫理とは、あなた個人がゼロから作り上げるものではなく、あなたよりも大きな何かに「導き入れられて」いくもの——そう捉えるところから、ヨガ的な倫理観は始まります。


ダルマ——あなたの「役割」が、あなたの倫理になる


この「もっと大きな構造」が、ダルマです。ダルマとは、支え、方向づけ、秩序を与えるものであり、私たちに居場所と役割を与え、「自分が何者か」を教えてくれる構造だとされます。


バガヴァッド・ギーターの冒頭、戦場で葛藤するアルジュナの物語は、この考え方をよく表しています。そこで問われているのは個人的な良心の声にどう従うかではなく、自分が何者であるべきかをダルマという大きな枠組みから受け取ることでした。


興味深いことに、これとよく似た発想はインドの外——儒教の伝統にも見られます。「正名」、つまり君主は君主らしく、臣下は臣下らしくあること。自分の立場と、引き受けている役割・責任とを一致させることを、真の倫理的誠実さの第一歩とする考え方です。


不完全でも、自分の役割にとどまり続ける


では、与えられた役割をうまく果たせなかったらどうなるのでしょうか。ギーターの中でクリシュナは、自分自身の役割(スヴァダルマ、sva=「自己の」+dharma)を不完全にしか果たせなくても、他人の役割を立派に果たすことより優れている、と説きます。


これは「頑張ればどんな役割でも立派に果たせる」という激励ではなく、むしろ逆——不完全な自分の役割を、そのまま引き受け続けることの尊さを説く、少し逆説的な教えです。


ダルマには、光だけでなく影もある


ただし、この枠組みには見過ごせない影の部分もあります。生まれによって役割や身分が決まっているという発想は、決定論的な性格を強く帯びており、カーストや性差別といった深刻な問題の根にもなってきました。宇宙そのものがそう定めたのだと理解されることで、社会的な構造が「神聖なもの」としての体裁を与えられてしまう、という側面です。




しかし、ここにはもう一段深い問いがあります


ここまでで、ヨガの伝統における最初の倫理——ダルマへの参加としての倫理——の骨格はご理解いただけたと思います。

ただ、ヨガの伝統はここで話を終わらせませんでした。「生まれや役割に縛られているとしても、努力によって変わっていけるのではないか」と考えた人々がいました。そして、本当に自由になった人は、倫理とどう関わるのか——実は、同じヨガの伝統の中に、正反対の答えを出す二つの見方が同居しています。さらに、「正義」や「正しさ」は本当に中立でいられるのか、という問いも、古代の物語は投げかけてきます。


この続きは、note記事「ヨガが説く『倫理』は、実は一つではない——ダルマ、カルマ、そして『正しさ』を超えた先にあるもの」で詳しく解説しています。



ではまた。 Ken

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